Archive for 10月 14th, 2010
◎遺留分とは?
被相続人は、原則として遺言により、自由な意思によって、特定の相続人に対して(相続分の指定)はもちろんのこと、第三者(遺贈)に対しても、財産の全てを与えることができます。
しかし、被相続人の財産処分権を全て自由に認めてしまうことは、長い年月の間、生計や事業を共にしたり、扶養や療養し続けてきた相続人にとって酷な結果となる恐れがあります。
そこで民法は、遺言によっても侵害することができない法定相続人への最低限の相続分を規定することによって、法定相続人を保護しており、これを「遺留分」と言います。尚、兄弟姉妹に遺留分はありません。
◎遺留分を侵害する遺言も無効ではありません!
遺留分が侵害されている場合、それを取戻すことも(遺留分減殺請求)、そうでないことも相続人の自由です。従い、遺留分が侵害されている場合に何もしなければ遺留分は保護されないため、その遺言は有効となります。
◎遺留分の割合
相続人が直系尊属のみ → 法定相続分×1/3
上記以外の場合 → 法定相続分×1/2
◎遺留分減殺請求とは?
簡単に言うと、遺留分が侵害されている場合に、侵害者に対して自己の遺留分を主張することによって遺留分を取り戻せる権利で、遺留分を主張するも、主張しないも本人の自由です。
遺留分減殺請求は形成権(一方的意思表示で法律関係が発生する)であるため、裁判所での手続などを得なければならないといったものではなく、侵害者に対する通知のみで効力が生じます(もっとも相手方が応じない場合には家庭裁判所での調停手続きを回避できませんが・・)。
侵害者に対する通知は、配達証明付き内容証明郵便にて行うことが安全です。遺留分減殺請求権は、相続開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知ったときから1年で時効により消滅します。
また、相続の開始から10年を経過すると、相続開始を知らなくても時効消滅してしまうので注意が必要です。遺留分減殺請求の対象財産の順番は決まっております。
◎ 遺留分減殺請求の順番
- まずは遺贈から減殺し、それでも不足しているときは生前贈与を減殺します。
- 生前贈与が複数行われていたときは、新しい生前贈与から請求します。
- 遺贈が複数ある場合は、遺贈の対象となっている財産の価格に応じた按分比例によって減殺します。
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◎法定相続分とは
被相続人は、遺言によって相続人(遺産をもらう人)や相続分を決めることができ、遺言は、遺産を譲受する人やその範囲が確定する一義的な方法と言えます。
そして遺言がない場合には、民法の規定に従って、法定相続人(相続人となることができる範囲)が定められますが、これと同様に、法定相続分(受け取れる割合)についても法律によって定められています。
◎配偶者と子(孫)が法定相続人の場合
→相続分の割合は配偶者(1/2)・子(1/2)
- 直系卑属が数人いるときは、相続分1/2について均等に相続する
- 非嫡出子の相続分は嫡出子の1/2
- 養子の相続分は実子と同じ
◎配偶者と父母(祖父母)が法定相続人の場合
→相続分の割合は配偶者(2/3)・父母(1/3)
- 直系尊属が数人いるときは、相続分1/3について均等に相続する。
◎配偶者と兄弟姉妹が法定相続人の場合
→相続分の割合は配偶者(3/4)・兄弟姉妹(1/4)
- 兄弟姉妹が数人いるときは、相続分1/4について均等に相続する非嫡出子の相続分は嫡出子の1/2養子の相続分は実子と同じ
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